1986年作品 劇場版『北斗の拳』




狂乱のシン (Chapter2)

果て無き荒野のど真ん中でデート中の男女が二人。

ユリア
「ここは以前海だった・・・だけど、今は命のかけらさえ残っていない・・・。
私は見たい・・・地上に緑が返り、海に魚が返る日を・・・」
そんな二人に歩み寄る謎の影。
ケンシロウ
「シン・・・」
シン
「力こそ正義、いい時代になったものだ」
シン
強者は心置きなく好きな物を自分の物に出来る

ケンシロウ
「よせ!」
シン
「どけーーーーーー!!」


ケンシロウ
「うぉっ!?」
シン
「ケンシロウ!
お前は北斗神拳の伝承者になったそうだな!
だが、南斗聖拳の敵ではない!!」
ユリア
「シン!南北は争ってはならない!
それが掟なのを忘れたの!?」
シン
「そんなたわ言、当の昔に忘れたわーーー!!!」


ケンシロウ
「!」
シン
「うぉうーーーーっ!!」
ケンシロウ
「ほあちゃーーーっ!!」
怒ッカーーーーーン!!!!
しゅたっ!(着地)

向かい合う野郎二人でしたが・・・
シン
「フッフッフ・・・」
ケンシロウ
「うわあぁーーーーー!!!!」
シン
「南斗獄殺拳!」


ユリア
「あぁ・・・ケンシロウ!?」
そんな二人の対決を高見の見物してた兄貴が二人。
ジャギ
「なんてザマだ!
あれが北斗神拳の伝承者か!? 兄者!」
ラオウ
「・・・・・・」
シンにボコボコにされたケンシロウは立ち上がる事が出来ません。
シン
「ケンシロウ、お前ごときでは俺に勝つ事は出来ん」


ケンシロウ
「くっ・・・」
シン
「お前と俺には致命的な違いがある。
それは欲望!
・・・そして執念だ!!」
ユリア
「ケン!シン!貴方達は子供の頃から兄弟の様に育ったのよ!
そして、貴方のお師匠様からも、南北は絶対に争ってはいけないと戒められていた筈です!!」
シン
「ユリア、お前は南斗聖拳の血を引く女だ。

わからぬかユリア?・・・俺は昔からお前を愛していた」
ジャギ
「兄者、我々北斗神拳は一子相伝!
跡を継ぐことが出来るのはたった一人なんだ!なのに、伝承者のケンシロウはあのザマだ!!
このままケンシロウに伝承を許し黙っているのか!?
ジャギ
「それに俺は知ってるんだ。
北斗神拳の伝承者争いに敗れた者がどういう運命を辿ったか!
ある者は拳を潰され、またある者は記憶を奪われた!」
ジャギ
「わかっているのか!ラオウ!!」


ラオウ
「・・・・・・」
そんな兄貴達を尻目に、部下達に命じてケンシロウを羽交い絞めにするシン。
一体何をする気なんでしょう?

シン
「ケンシロウ、欲望こそが強さに繋がる。お前にはそれが無い」
シン
「お前の甘い性格ではこの時代は生きてはいけぬ。ユリアを幸せに出来るのは俺だけだ」


ユリア
「私はイヤです!!」


シン
「ユリア、俺を愛していると言ってみろ」
ユリア
「私はケンシロウを愛しています。
ケンを殺せば私も死にます!!」
シン
「ほぉ、それほど言いたくないのか・・・」
シンは部下に命じてケンシロウを脱衣させました。
シン
「ぬんっ!」


ケンシロウに向かって犯人はお前だーするシン。
ケンシロウ
「うぐっ!」
ずぶぶっ!!!
ケンシロウ
「ぬあーーーーっ!!!」
シン
「フフフ・・・
何本目に死ぬのかな?」
ケンシロウ
「ぐっ・・・シン、殺すなら早く殺せ・・・」
シン
「俺を止められるのはお前だけだ。
お前のたった一つの言葉でいい。
強制はせん。自分の意思で言え!」
ケンシロウ
「ユリア、死ぬなよ・・・俺の為に生き続けろ!」
シン
「よかろう!殺してやる!! 死ねっ!!!」
シン
「俺は前からお前の存在自体が許せなかった!死ね!!」


ケンシロウ
「うわぁーーーっ!!!!」
ユリア
「ま・・・待って!!!! 
あ…愛します…」
シン
「ん〜〜〜?」


ケンシロウ
「よせっ!! ユリア!」
シン
「なにぃ?聞こえんなぁ〜。
その程度で俺の心が動くと思っているのか、ユリア?
俺の愛が欲しかったら、もっとハッキリ言ってみろぉーー!!」
ユリア
「愛します!!!
一生どこへでもついて行きます!!!
だからケンを・・・
殺さないでぇーーーーー!!!!!」
シン
「アヒャヒャ!聞いたかケンシロウ!!
俺を死ぬほど嫌いだと言った女が一生どこへでもついて来るとよ!」
シン
「女の心変わりとは恐ろしいものよのぅ〜〜〜!
ウハハハハッ!!」
シン
「ユリア、この男は既に屍だ。
どのみちこの時代を生きてはいけぬ」
シン
「安心しろ、トドメは刺さん」
ユリア
「ケン!ケンシロウ・・・ケーン!!」
シン
「ユリア、出発だ」


ユリア
「ケーーーーン!!」


シンに連れ去られるユリアの懐から謎のアイテムが落下しました。
ケンシロウ
「ユリアーーーーーー!!!!!」
ユリア
「ケーーーーーーン!!!」


ケンシロウ
「ユリアーーーーー!!!」
ラオウ
「ケンシロウはあれまでだ。
北斗はお前が拾えばいい、くれてやろう」


ジャギ
「何っ!いいのかラオウ!?
・・・本当にいいのかラオウ?」
ケンシロウ
「ユリア・・・」


ユリアが残した謎のアイテムを握り締めるケンシロウ。
回想ユリア
(ケン。私はこの地上にまた花を咲かせるわ・・・)
そしてケンシロウは深い眠りにつくのであった。
そんなケンシロウの元に兄であるジャギが現れました。
ジャギ
「ハァー、へェー、フォー」

ケンシロウを輸送するジャギ。
一体どこにいくのでしょうか?
ジャギ
「ぬははははっ!ザマぁないぞ、ケンシロウ。
俺が今日から北斗神拳の伝承者だ!!」
ジャギ
「兄より優れた弟など・・・
いるかーーーーー!!!!」

ジャギはケンシロウを谷底に叩き落してしまいました。
ジャギ
「ぬはははっ!地獄へ落ちろーー!!」


新北斗神拳伝承者となれた事で感極まったか、ジャギは足元目掛けてクラッシュメガトンパンチを叩き込みました。
ジャギの歓喜の一撃で崩れ去る岩壁。
ケンシロウの後を追い、谷底へと消えていきます。
ジャギ
「ヒヒヒヒヒッ!アヒャヒャヒャヒャ!!」

所変わって、ここはケンシロウ達が拳法を学んだ実家です。
ゴゴゴゴゴッ。

長男が家に帰ってきましたよ。
リュウケン
「・・・ラオウか」


ラオウ
「親父、俺の拳が潰せるか?
潰せるものなら潰してみろーーー!!
たとえ親父でも、この俺は倒せまい」

画面に隠れて見えませんが、下からちょこっとだけ出ているスキンヘッドが師父リュウケンです。
リュウケン
「ラオウ、覚悟はできておろう。北斗神拳の伝承者を目指し、果たせなかった者は黙って去れ!」


ラオウ
「親父、アンタは北斗神拳の伝承者を過った。・・・ケンシロウは死んだ」
リュウケン
「何ぃっ!?」


ビックリなリュウケンさんであった!
ラオウ
「北斗神拳ももはやこれまで!
ぬりゃーーーー!!!!」


パフォーマンスの一環か、原理不明の謎ビームを阿吽像目掛けて放つラオウ。
ラオウの謎ビームを受けた阿吽像は粉々に砕け散ってしまいました。
ラオウ
「ジョイヤーーー!!
俺の拳を封ずる者はこの世に存在せん!!」


落下してきた阿吽像の頭を両腕で受け取めるラオウ。
この行動の意味はよくわかりませんが、劇場版のラオウは気合入りまくりだと言う事は何となく伝わってきました。
リュウケン
「ラオウ・・・そのほう何を考えておる?
北斗神拳は二度と使ってはならぬぞ!!」


ラオウ
「俺は誰の命令も受けぬ」
ラオウ
「俺の望みは・・・
『天』!!!
天を握る事だ。
北斗神拳伝承者など、問題ではないわ!!!」
リュウケン
「それもよかろう。
だがラオウ!
お前の拳はワシが自ら封ずる他あるまい!!」
ラオウ
「ぬぅ!!」
ただいま、寺の中では壮絶な親子喧嘩が展開されております。
中から出てきたのはラオウ。
その体には傷一つありません。劇場版ラオウ、おそるべし!!
そしてラオウに凹られてしまった師父リュウケンですが、何故か座禅をした状態で息絶えております。
きっとみんなが見えない裏の部分で、せっせとこのポージングにしてあげたんでしょうね。
劇場版ラオウ、別の意味でおそるべし!!
目の上のタンコブを排除したラオウは、崖っぷちに漢立ちして一人の世界に浸っております。

ラオウ
「天よ!我に応えよ!!」
ラオウ
「我が目指すは天!
阻むなら神とも悪魔とも戦うのみ!!
我、世紀末の覇者となろうーーー!!!」
声高らかに世紀末覇者を宣言するラオウ。
その瞬間、なぜか宇宙から隕石が降ってきたりと解説困難な展開が続きます。
とりあえず唯一つだけ言える事は劇場版のラオウは一筋縄ではいかないと言う事です。
海は枯れ、地は裂けたまま時は流れた。
世は再び暴力が支配する時代になっていた。




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